第10回:予定を変更する


自宅の駐車スペース脇に植えてあるコマツナギの花が咲きました。
一般的には雑草扱い(木本ですが)なのだと思いますが、園芸植物に負けない美しさを持っていると思います。
このコマツナギは元々、安倍川付近に生えていたのを引っこ抜いてきたものです。引っこ抜いてきた辺りを地図で確認してみましょう。

安倍川が南北にまっすぐ流れている辺りに注目すると、川を東西から挟むようにノットが並んでいるのがわかります。東岸のノットはだいたいほどけていますが、西岸のノットはほとんどほどけていません。
そこで今回は、この地図の中央やや左寄りに並んでいる縦四つのノットを回ってみたいと思います。まず静岡大橋を渡って西に進み、南から北に向かって移動して行く計画です。もしかすると、地図上で「千代」と書いてある辺りで疲れちゃって挫折しそうな予感もしますが、その時は無理せずに撤収します。前回と同様、ブロンプトンのサドルに跨がっても、自分の中の「スイッチ」を入れずにのんびり行く方針です。
「ノットって何?」という方はこちらへどうぞ→ ノットとは何か?:『ゴルディアスの結び目』の遊び方)。

まずは静岡大橋を渡って西を目指します。川を渡らない事には話が始まりません。

橋を渡りきって、そのままどんどん直進します。JRの高架橋を通過。

最初のノットのすぐそばまでやって来ました。丁字路を右折して、ほんの少し北上すれば辿り着けそうです。上の地図には表示されていませんが、そこは「金属団地」という面白い名前のエリアで、工場の密集地のようです。
しかし、この丁字路で気になる物を見つけました。

「この先旧東海道丸子宿」「ようこそ丸子路へ」
なにやら風情のある看板が立っています。
金属団地も面白そうですが、ちょっと予定を変更してこのまま路をまっすぐ進んでみることにしました。
西に向かって片側一車線の狭い路が続きます。看板が立派だったので、いかにも観光地!といった情景を期待したのですが、ごく普通の住宅街といった雰囲気。全般的に歴史のありそうな家屋が密集しているエリアではありました。
で、途中で気づいたのですが…わたし以前ここに来たことありましたわ!
娘の小学校の遠足のときに来てましたね。あのときは遠足バスで連れてこられたので、とても遠いところだと思っていたんですが、錯覚でしたか。ブロンプトンで走ったおかげで認知マップを修正することができました。

丸子川がよく見える辺りまで来ると、「とろろ汁」の看板を掲げたお店がありました。この地域では、とろろ料理のお店をよく見かけます。実は一度もそういったお店に入ったことがないのですが、今回もパスです。おなかが空いていなかったもので(無粋)。
ところで、この「丸子」という地名、ほとんどの人が「まるこ」と読むのではないでしょうか。静岡=ちび「まるこ」ちゃん、という連想をするかしないかに拘わらず、まること読みますよね。私も、静岡県外出身なので、「まるこ」と読んでいました。
でもこれ、「まりこ」と読むのだそうです。お店の前の看板を良く見ると「鞠子宿」と書いてありますが、これなら「まりこ」と読めますね。そして、この店の前を流れている小さな川、丸子川も、「まりこ」川です。

お店の前で橋を渡り、丸子川に沿って西に向かいます。その川沿いの細い路が、噂には聞いていた太平洋岸自転車道の一部だったんですね。

だいぶお日様が西に傾いてきました。お日様に向かって進んでいきます。
写真には写っていませんが、右手に丸子川が流れているわけです。魚がたくさん泳いでいるのが見えましたが、日淡の知識がほとんどないので、単に「魚」という認識しかできなかったのが残念です。

当初予定していたものとは違いますが、ノットに到達しました。
まだまだ路は続いていますが、今回はここで引き返すことにしたいと思います。

引き返す途中で気付きました。護岸コンクリートの表面にでっかく「カジカガエル」の文字とアイコン。この辺にはカジカガエルが生息しているんでしょうか?地元のみなさんが保護している雰囲気があります。

とろろ汁のお店の前まで戻ってきましたが、そこにも太平洋岸自転車道の看板があります。安倍川方面まで続いているということですね。私が自宅に戻るには安倍川を渡らないといけないものですから、このまま太平洋岸自転車道を進んでみることにします。

良い雰囲気です。たまりませんな。
しかし、「自転車道」とは言っても所詮は歩道。そんなにスピードは出せません。実際、歩行者が結構通ります。

対岸に良い雰囲気の文殊堂がありました。ちなみにこの日は結構暑くて、この写真のフレームのすぐ外側では、子供達が丸子川につかって水遊びをしていました。

Pacific Coast Bicycle Routeの看板がありました。地図上で私は左から右に向かって移動し、安倍川に近づいてきたことになります。しかし実際にはこの看板の左の方に向かって行くことになります。つまり、地図上の東西と現実の東西が逆。見る者に高い認知的負荷をかける地図です。

前方にある橋は、新幹線です。新幹線が丸子川を渡っているのですね。
実はあの橋、「Bromptonで巡る静岡市のノット (8)」で反対方向から見ています。

「現在地」の表示が新幹線(というかJR)の線路を越えたところに表示されているのがわかるでしょうか。繰り返しになりますが、私はこの地図上を左から右に向かって移動し、安倍川に近づいて来たのですが、現実世界の安倍川は地図の左の方にあります。

太平洋岸自転車道の地図に従うと、自然たっぷりな丸子川を離れ、国道へと誘導されます。

やたらとリアルな巨大ワサビ看板を見ながら直進。この辺り、排気ガスがすごいです。

安倍川に到達しました。南安倍川橋です。
ここで、太平洋岸自転車道がどこに続いているのかちょっと迷ったのですが、車道の右側を通っていけ、ということになっています。

橋は長いです。どんどん渡りましょう。

橋を渡りきったところで太平洋岸自転車道は右に折れ、南へ、つまり海へ向かって誘導されます。前方の松林を抜けていくと海です。安倍川河口にある発電風車も見えますね。
しかし、今回はここを一応のゴールとしたいと思います。

「安倍川西岸のノットを~」なんていう計画だったはずですが、全然違うところにノットのマークが一つぽつんと付くことになりました。
しかし、気ままなポタリングなのですから、こんな風に途中で予定を変更するのも悪くありません。
反省点を一つあげるとするならば、せっかく金属団地の至近まで行ったのにノットをほどかずに帰ってきてしまったことでしょうかね。また今度行く事にします。
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